Trending Searches

MUSINA

フジロック2026、3日間の記録──帰還と初出演が交差した苗場

AKIRA

AKIRA

2026.07.28 Update

Xでシェア
URLをコピー

引用元:フジロック2026公式

この記事でわかること

  • 01.2026年7月24日から26日まで、新潟県苗場スキー場で「FUJI ROCK FESTIVAL '26」が開催され、4日間で延べ12万3500人を動員。
  • 02.3日間のヘッドライナーはThe xx、KHRUANGBIN、MASSIVE ATTACKが務め、それぞれ異なる文脈でステージを完成させた。
  • 03.27年ぶりのHi-STANDARDから初出演の藤井風・XGまで、帰還組と新顔が同じ3日間の中で交差した。

新潟・苗場スキー場に、今年もあの3日間がやってきた。
2026年7月24日から26日まで開催された「FUJI ROCK FESTIVAL ’26」は、台風の影響で天候が不安定な場面を挟みながらも、4日間(前夜祭含む)で延べ12万3500人を動員し、無事に幕を閉じた。

今年のラインナップを貫いていたのは、「帰還」と「初出演」という2つの軸だ。
27年ぶりに戻ってきたバンドがいれば、初めて苗場の土を踏んだアーティストもいる。
3日間のヘッドライナーステージを軸に、今年の苗場で何が起きていたのかを振り返りたい。

スマイリー原島追悼の豪華セッション

初日7月24日、GREEN STAGEの早い時間帯には「ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA」が組まれた。
ドラマーの池畑潤二が率いる「苗場音楽突撃隊」を中心に、大江慎也、甲本ヒロト、浅井健一、トータス松本という豪華な顔ぶれが結集したこのセッションは、2026年、長年グリーンステージのMCを務めてきたスマイリー原島への追悼を込めたロックンロールショーとして披露された。
終演後のインタビューで、浅井健一は「お客さんも盛り上がっていて、すごくいい感じでしたね」と手応えを語っている。
フジロックが積み重ねてきた歴史そのものを感じさせる、初日の幕開けにふさわしい一幕だった。

Hi-STANDARD、27年ぶりの帰還

同じ初日、GREEN STAGEでもう一つの大きな話題となったのがHi-STANDARDの出演だ。
同バンドのフジロック出演は1999年以来、実に27年ぶり。
19時ごろに始まったステージは約70分・全18曲におよび、「TURNING BACK」で幕を開け「CAN’T HELP FALLING IN LOVE」で締めくくる構成で会場を沸かせた。

ステージ上のMCでは、ボーカル&ベースの難波章浩が「帰ってきたぜ。27年ぶりです」と呼びかけ、大きな歓声を浴びた。
現在のHi-STANDARDは、横山健(Gt・Cho)、難波章浩(Vo・Ba)、そして2025年9月に新たに加入したドラムのZAXによる3人体制。
長年ドラムを務めた恒岡章が2023年2月に逝去して以来、新体制での本格的なライブ活動再開を象徴するステージとなった。
バンドは2025年11月、新体制初となるミニアルバム『Screaming Newborn Baby』もリリースしている。
20代・30代で当時のHi-STANDARDを聴いていたオーディエンスが、40代・50代になった今また同じステージ前で肩を並べる。そんな時間の積み重ねを感じさせる帰還だった。

The xx、進化したカムバック

初日のヘッドライナーを務めたのはThe xx。
9年ぶりとなる活動再開を経てのステージだったが、そのセットリストは前回のフジロック出演時から大きく進化していた。
序盤の構成が組み替えられ、前回はアンコールで披露された「Angel」が早い段階で登場。
さらに原曲にJamie xxによるリミックスを巧みに織り交ぜるなど、単なる再結成にとどまらない新しいThe xxの姿を見せつけた。
天井から吊るされた「xx」のロゴが浮かび上がる演出も、この日のハイライトの一つとなった。

藤井風とXG、初出演組の存在感

2日目、GREEN STAGEに初出演を果たした藤井風は、発表時から大きな話題を集めていたステージだった。
開演前から観客で埋め尽くされたステージ前は、サックスを吹きながら観客エリアを歩く藤井の姿がビジョンに映し出されると大歓声に包まれた。
「ガーデン」を皮切りに「まつり」など怒涛のパフォーマンスを展開し、ホーン隊を交えた芳醇なアンサンブルで観客を圧倒。
日本語楽曲が中心ということもあり、会場のシングアロング率も非常に高かったという。

同じ日、WHITE STAGEではXGが初出演を果たした。
トリ前という重要な時間帯を任され、ステージはこの日初披露となるアカペララップ「THE VISION」で幕開け。
続けてYouTubeで1億回再生を突破したばかりの「WOKE UP」を披露し、序盤から会場をXGの世界観に引き込んだ。
「IYKYK」や「IS THIS LOVE」はフジロック仕様のスペシャルアレンジで披露され、最後は「SHOOTING STAR」で締めくくった。
メンバーのJURINは「XGにとって初めてのフジロックなんですけど、最高ですね」、COCONAも「自然の空気がおいしいです」とコメントするなど、圧倒的なパフォーマンスとは対照的にフレンドリーなMCも印象的だった。
XGはこの後、オーロラとThe Chemical Brothersのトム・ローランズによるユニット・TOMORAへとトリのバトンを渡している。

KHRUANGBIN、大物路線からの転換を象徴するヘッドライナー

2日目、GREEN STAGEのトリを務めたのは、アメリカ・テキサス出身のトリオ、KHRUANGBIN(クルアンビン)だった。
タイの古いファンクやロックに影響を受けつつ、様々な地域とジャンルの音楽を融合させたインストゥルメンタル主体のサウンドで、リラックスした心地よい独自の世界を作り上げるバンドだ。

共同通信の取材によれば、主催のSMASHはこの人選について、フェス全体を単なる大物アーティストの物量勝負ではなく、一つの「体験」として成立させるための試みだと位置づけているという。
初出演の藤井風とともに、KHRUANGBINの起用は、今年のフジロックが提示した音楽的な文脈を象徴する存在だった。
3月に行われた来日公演の東京公演があっという間にソールドアウトし、急遽1日2回公演の措置が取られるほどの人気ぶりも、今回のヘッドライナー起用の背景にある。

浅井健一のソロステージとnever young beach

浅井健一は最終日7月26日、今度はソロとしてレッドマーキーのステージに立った。
初日のROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRAと合わせて、2日にわたる2つの異なるステージでの出演となった。
同日、J-WAVEのインタビューに応じた浅井は、苗場という環境での演奏について「初めて、山並みを感じる余裕がちょびっとだけあった」と語っている。

同じく最終日、FIELD OF HEAVENには安部勇磨(Vo・Gt)、巽啓伍(B)、鈴木健人(Dr)によるnever young beachも出演。
2014年結成、フジロックの空気になじんできたバンドの一つとして、最終日のラインナップに名を連ねた。

Mitski、単独公演にもつながったWHITE STAGEヘッドライナー

最終日のWHITE STAGEでヘッドライナーを務めたのはMitski。
最新アルバム『Nothing’s About to Happen to Me』を引っ提げたワールドツアーの一環としての出演で、フジロック閉幕直後の7月28日には、東京・Zepp DiverCityで一夜限りの単独公演「MITSKI FUJI ROCK SPECIAL」も開催された。
苗場のステージと、その数日後の単独公演という2つの形でMitskiの現在地を体感できる、今年ならではの構成だった。

MASSIVE ATTACK、16年ぶりの帰還

最終日3日目、GREEN STAGEのヘッドライナーを務めたのはMASSIVE ATTACK。
フジロック出演は2010年以来、実に16年ぶりとなった。
雨が降ったり止んだりする不安定な天候の中、会場は多くの観客で埋め尽くされていた。

ステージは「In My Mind」から幕を開け、元コクトー・ツインズのエリザベス・フレイザーが登場して「Black Milk」を歌い上げた。
Horace AndyやDeborah Millerといったボーカリストも入れ替わりで登場し、「Risingson」「Inertia Creeps」「Angel」「Safe From Harm」「Unfinished Sympathy」といったキャリアを代表する楽曲が並ぶセットリストで会場を沸かせた。
最後を飾ったのは「Teardrop」だった。

巨大スクリーンには、戦争や政治、社会問題、歴史的事件に関する映像やテキストが次々と映し出され、明確に政治的なメッセージを持ったステージだった。
楽曲と映像を組み合わせてライブ全体を一つの作品として提示する構成は、フジロックが長年大切にしてきた姿勢を改めて感じさせるものだった。
なお、このステージはMASSIVE ATTACKにとって史上初となるライブ配信でもあり、Amazon Musicアプリ・Prime Video・Twitchを通じてフィナーレとして配信された。

今年のフジロックが残したもの

スマイリー原島への追悼から始まり、27年ぶりに帰ってきたHi-STANDARD、9年ぶりに進化した姿を見せたThe xx。
2日目には初出演の藤井風とXGが新しい熱を生み、大物路線からの転換を象徴するKHRUANGBINがヘッドライナーの座についた。
そして最終日、2つのステージを駆け抜けた浅井健一、単独公演にもつながったMitski、16年越しに帰還した重厚なMASSIVE ATTACK。

年月を経て再び苗場に戻ってきたアーティストたちと、初めて苗場に足を踏み入れたアーティストたちが、同じ3日間の中で交差する。
それこそが、毎年フジロックが作り出す景色なのだと、改めて感じさせる年だった。

Read Next

NEWSLETTER

新しい音楽との出会いを
毎週お届けします

MUSINA編集部が厳選した「今週聴くべき新譜」や、特集記事の裏話などをニュースレターで無料配信中。