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ブルーノートって結局なに?ジャズ好きが口を揃える名門レーベル

中條 隆之

中條 隆之

2026.09.29 Update

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この記事でわかること

  • 01.ブルーノート(Blue Note Records)は、1939年にニューヨークで創設されたジャズの名門レコードレーベル。
  • 02.音・写真・ジャケットデザインへの徹底的なこだわりが、他のレーベルとは一線を画す個性を作り上げた。
  • 03.1970年代末に一度休眠したが、1984年に再始動し、ノラ・ジョーンズやロバート・グラスパーら現在まで続く名門として存在感を放っている。

ジャズを聴き始めると、必ずと言っていいほど目にする「ブルーノート」という名前。
レコードショップの棚にも、CDのジャケットにも、そこかしこに登場する。
でも、それが具体的に何なのかと聞かれると、意外と答えに詰まる人は多いのではないだろうか。
今回は、このブルーノートというレーベルについて、基本から解説したい。

ブルーノートは「バンド名」ではなく「レコード会社」

まず大前提として、ブルーノートはアーティストやバンドの名前ではない。
Blue Note Records(ブルーノート・レコード)という、アメリカのレコード会社(レーベル)の名前だ。
1939年、ドイツからアメリカへ移住したユダヤ系の青年、アルフレッド・ライオンが、写真家でもあった盟友フランシス・ウルフとともにニューヨークで立ち上げた。
当初はブギウギ・ピアノのEP盤からスタートし、1940年にはシドニー・ベシェの「サマータイム」がヒットを記録している。

レーベルとしての”個性”を作った3つの要素

数多くあるジャズレーベルの中で、なぜブルーノートだけがここまで特別視されるのか。
その理由は、音楽そのものだけでなく、レーベル全体の「作り方」にある。
1950年代、ブルーノートでは次のような分業体制が確立された。

まず、創業者のアルフレッド・ライオン自身がアーティストの選定とプロデュースを手がけた。
ライオンは、まだ無名の若手にも積極的に録音の機会を与え、多くの才能を発掘したことで知られている。
録音を担当したのは、後に「伝説のレコーディングエンジニア」と呼ばれるようになるルディ・ヴァン・ゲルダー。
彼の作る音は、今なお「ブルーノート・サウンド」として語り継がれている。
そして、フランシス・ウルフが撮影する、レコーディング中のアーティストの何気ない表情を切り取った写真と、デザイナーのリード・マイルスによる洗練されたジャケットデザインが組み合わさり、音楽・録音・ビジュアルすべてが揃った、唯一無二のレーベルイメージが作り上げられていった。

まず聴くならこの5枚

ブルーノートを代表する名盤として、よく名前が挙がるのが次の作品群だ。
ソニー・クラーク『クール・ストラッティン』
キャノンボール・アダレイ『サムシン・エルス』
ジョン・コルトレーン『ブルー・トレイン』
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ『モーニン』
そしてハービー・ハンコック『処女航海(Maiden Voyage)』。


いずれも1950年代後半から1960年代にかけて制作された作品で、ハードバップからポスト・バップへと移り変わるジャズの黄金期を象徴する名盤ばかりだ。ジャズを聴き始めたばかりの人には、まずこのあたりから触れてみることをおすすめしたい。

一度は休眠、そして復活

順風満帆に見えるブルーノートだが、実は経営面では決して安定していたわけではなかった。
1965年にはリバティ・レコードに売却され、1970年代末には新規録音が途絶え、一時休眠状態に陥ってしまう。

転機となったのは1984年。
親会社のEMIがレコード会社経営者のブルース・ランドヴァルにレーベルの再建を依頼したことで、ブルーノートは本格的に再始動する。
ランドヴァルは、ジミー・スミスやマッコイ・タイナーといった旧所属アーティストを呼び戻すとともに、ダイアン・リーヴスやカサンドラ・ウィルソンら新たな才能とも契約。
翌1985年2月22日には、ニューヨーク・タウンホールで再始動を記念するコンサート「One Night with Blue Note」が開催され、当時すでに公の場から遠ざかっていたアルフレッド・ライオン本人も出席した。

ヒップホップとの交差、そして現在

1990年代には、ブルーノートの過去音源とヒップホップの親和性が注目される。
イギリスのグループUs3は、ブルーノートの音源を自由にサンプリングする許可を得てアルバム『ハンド・オン・ザ・トーチ』を制作し、収録曲「カンタループ」が世界的なヒットとなった。

2000年代以降も、ブルーノートは新しい才能を迎え入れ続けている。
2000年に契約したノラ・ジョーンズは、2002年発表のデビューアルバム『Come Away With Me』が世界的なメガヒットとなった。
2003年に契約したピアニストのロバート・グラスパーは、現在のブルーノートを代表する存在の一人として、若手アーティストを集めたスーパーグループ「ブルーノート・オールスターズ」も率いている。
近年では、ジョエル・ロスやイマニュエル・ウィルキンス、Domi & JD Beckといった、さらに新しい世代のアーティストたちもレーベルに名を連ねている。
現在は、ユニバーサル・ミュージック・グループ傘下のキャピトル・ミュージック・グループのもとで運営が続けられている。

「ブルーノート」と聞いたら

1939年の創業から85年以上。
ブルーノートは、単なる「昔の名門レーベル」ではなく、今なお現役で新しい音楽を生み出し続けている存在だ。
次にジャケットや帯に「Blue Note」の文字を見かけたときは、そこに込められた音・写真・デザインへのこだわりを、少し意識して聴いてみてほしい。

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