MUSINA

K DUB SHINEとDEV LARGE、ネット時代に生まれた日本語ラップ史上のビーフ

NARI

NARI

2026.09.25 Update

Xでシェア
URLをコピー

引用元:ワーナーミュージック

この記事でわかること

  • 01.2004年、K DUB SHINEとBUDDHA BRANDのDEV LARGEの間で、日本語ラップ史に残るビーフが勃発。
  • 02.発端は、K DUB SHINEのアルバム収録曲の歌詞と、日本語ラップのあり方をめぐる両者の考え方の違いだった。
  • 03.数年にわたる険悪な関係は、2013年に共通の友人の死をきっかけに和解し、2015年のDEV LARGE逝去へと続いた。

インターネット上で公開された1本の音源が、日本語ラップ史に残るビーフへと発展した出来事がある。
K DUB SHINEとDEV LARGE、それぞれキングギドラとBUDDHA BRANDを代表するMC同士の対立だ。

発端は1本の楽曲

2004年、K DUB SHINEは自身の半生を綴ったコンセプトアルバム『理由』を発表する。
収録曲「来たぜ」には、アメリカ滞在時代にラップセミナーでBUDDHA BRANDと対戦し勝利を収めたという経験を振り返る中で、「バトルは俺が完全に食った」という一節が含まれていた。

この一節を人づてに聞いたDEV LARGEは激高したという。
もともとDEV LARGEは、日本語と英語を織り交ぜるK DUB SHINEのバイリンガル・ラップのスタイルに対し、「日本語ラップ」を名乗りながら英語を多用することへの不信感を、以前から抱いていたとされる。
そうした背景も重なり、2004年6月19日、DEV LARGEと思われる人物がK DUB SHINEをディスする楽曲「ULTIMATE LOVE SONG」を、匿名でインターネット上に公開した。

ラジオでの発覚と、往復する楽曲

6月22日、DEV LARGE自身がInterFMのラジオ番組『Joint One Radio Show / DEN説の火曜日』に出演し、この楽曲を自らオンエア。
これにより、匿名だった「ULTIMATE LOVE SONG」がDEV LARGE本人による作品であることが明らかになった。

これに対しK DUB SHINEは、6月29日、アンサーソング「1 THREE SOME」をインターネット上に公開する。
内容は、なぜ急にディスをしてきたのかという問いかけと、DEV LARGEがソロアルバムを発表していないことへの皮肉を含むものだった。
なお、K DUB SHINE本人は後年、このタイトルが「アンサー」ではなく「送信(そうしん)」の誤記であったと説明している。
DEV LARGEはさらに、アンサーソング「前略ケイダブ様」を発表。
楽曲による応酬はここでひとまず途絶えたが、両者の間には数年にわたって険悪な空気が続いたとされている。

共通の友人の死をきっかけにした和解

関係が動いたのは2013年のことだった。
ヒップホップユニット・キエるマキュウのMAKI THE MAGICが逝去し、その死をきっかけに、K DUB SHINEとDEV LARGEは和解する。

K DUB SHINEは後のインタビューで、当時の心境をこう振り返っている。
DJ MASTERKEYと話していた際、「DEV LARGEも最近倒れて、危なかった」と聞かされ、このまま揉めたままでは後悔すると感じたという。
そんな折、MAKI THE MAGICの追悼イベントが行われる日の昼間、K DUB SHINEは地元の駅でDEV LARGEと偶然出くわす。
「いつまでもみんないるわけではない、何があるか分からないから、心残りのことはちゃんとしておかないと」というK DUB SHINEの言葉に、DEV LARGEも同意したという。

DEV LARGEの逝去、そして今

2015年5月4日早朝、DEV LARGEは自宅にて急逝した。
45歳だった。死因は公式には公表されていない。
翌5日、K DUB SHINEやZEEBRAらがTwitter上でこの訃報を報じ、6日には所属レーベルのPヴァインが正式に発表した。

もし2013年の和解がなければ、この結末はまったく異なる重さを持っていたはずだ。
曲を通した応酬から始まり、共通の友人の死を経て和解に至り、その2年後に一方が世を去る。
K DUB SHINEとDEV LARGEのビーフは、日本語ラップの歴史における「対立」のあり方そのものを考えさせる出来事として、今も語り継がれている。

Read Next

NEWSLETTER

新しい音楽との出会いを
毎週お届けします

MUSINA編集部が厳選した「今週聴くべき新譜」や、特集記事の裏話などをニュースレターで無料配信中。