COLUMN
フジロックから帰ってきて、しばらく普通の音楽が聴けなかった
苗場から帰ってきて、数日経った。
荷物はもう片付けたのに、頭の中がまだ苗場にいる。
今年もフジロック関連の記事を何本か書かせてもらった。
家に帰ってからしばらく、いつも聴いている曲がなんだか物足りなく感じてしまった。
普段はプレイリストを適当に流しながら家事をするのが好きなのに、何をかけてもしっくりこない。
イヤホンを外して、無音のまま皿を洗った日もあった。
フェスの音楽は、家で聴く音楽とは根本的に何かが違う。
大きな音、知らない人たちと同じ方向を向いて過ごす時間、天候や気温まで含めた「その場にしかない条件」。
CDやサブスクの音源は、そういうものを全部そぎ落とした後に残る「情報」でしかないんだな、と、これを書きながら改めて思う。
物足りなさの正体は、たぶん曲そのものじゃなくて、あの場所の空気だったのだと思う。
だから、いくら好きな曲を再生しても埋まらない。
今は少しずつ、いつもの聴き方に戻ってきている。
それでも、去年よりほんの少しだけ、音楽の聴き方が変わった気がしている。
フェスで浴びた音の記憶が、普段の1曲1曲の中に、うっすら混ざり込んでいるような感覚だ。
また来年、あの場所に立てるかどうかはわからない。
でも、しばらくは今の耳のままで、いろんな曲を聴いていきたいと思う。