オアシスの映画「DONT LOOK BACK IN ANGER」
※このコラムには、映画「オアシス:ドント・ルック・バック・イン・アンガー」の内容に関するネタバレが含まれます。まだ観ていない方はご注意ください。
公開初日には行けず、少し落ち着いた平日の昼過ぎ、ようやく時間を作って観に行ってきた。
正直、ここまで記事にしてきた分、変な先入観を持って座席についてしまったところもあったと思う。
それでも、スクリーンが暗転した瞬間から、ちゃんと引き込まれた。
冒頭、デビュー当初の初期映像が流れる。まだ何者でもなかった頃の、あの荒っぽくて生っぽい映像から始まって、そこにかつての解散報道のニュース映像がフラッシュバックのように差し込まれる編集には、正直ぞくっとした。
知っている歴史のはずなのに、映像として突きつけられると重みが違う。
一番印象に残ったのは、やっぱりノエルの言葉だった。
「Liamとまたやるなんて想像できない、あの険悪な空気は二度とご免だ」というくだり。
文字で読んでいたときはただの決まり文句のように感じていたけど、本人の顔と声でそれを聞くと、全然違う響きがあった。
20年以上ぶりに2人揃ってのインタビューだという前情報は知っていたけど、実際に並んで座っている画を見るだけで、こっちが妙に緊張した。
再結成ツアーの映像も、思っていた以上にたっぷり尺を取っていた印象がある。
会場の熱量、観客の表情、そしてステージ上の2人の距離感。喧嘩ばかりしてきた過去を知っているからこそ、何気ない一瞬の視線のやり取りにまで意味を探してしまう自分がいた。
ドキュメンタリーとしての作り自体は決して派手ではないけれど、だからこそ、当事者の言葉と表情の重みがそのまま伝わってくる構成だったと思う。
良い映画だったかと聞かれたら、間違いなく良かったと答える。
ただそれ以上に、「この2人がまた同じステージに立っている」という事実そのものに、改めて胸を打たれた気がする。
ライターとして何本も記事を書いてきたはずなのに、映画館の暗闇の中でスクリーンを見ていたときは、ただの一人のファンだった。
公開終了まであと少し。
まだ観ていない人には、変に身構えず観に行ってほしい。
派手な事件が起きるわけではないけれど、あの兄弟の20年越しの空気を、映画館の暗闇の中で浴びるという体験自体に価値があると思う。