Cornelius──渋谷系の申し子が、30年かけて辿り着いた音響世界
この記事でわかること
- 01.Corneliusは、フリッパーズ・ギターとして渋谷系ムーブメントを牽引した小山田圭吾によるソロプロジェクト。
- 02.サンプリングや多重録音を駆使した実験的なサウンドと、音と映像を融合させたライブ表現で国内外から高く評価されている。
- 03.2026年8月19日発売の新作『Refractions』を携え、サマーソニック2026にも出演。
音と映像を寸分の狂いなく同期させ、実験的でありながらポップに響かせる。
そんな唯一無二の表現を30年以上にわたって追求してきたのが、小山田圭吾によるソロプロジェクト、Corneliusだ。
フリッパーズ・ギターから、渋谷系ムーブメントの中心へ
小山田圭吾は1969年1月27日、東京都生まれ。
ファッションの専門学校セツ・モードセミナーに通う傍ら、中学校の同級生だった小沢健二とフリッパーズ・ギターを結成し、1989年、アルバム『海へ行くつもりじゃなかった』でメジャーデビューした。
センセーショナルなメロディとお洒落なアレンジで、音楽誌だけでなくファッション誌でも取り上げられ、フリッパーズ・ギターは”渋谷系”と呼ばれるムーブメントの中心的存在となる。
まだ20歳だった小山田は、当時のインタビューで見せていた強気な発言も含め、独特のカリスマ性を放っていた。
フリッパーズ・ギターは1991年に解散。
しばしの期間を経て、1993年、小山田はソロプロジェクトCorneliusとして活動を再開する。
1stアルバム『THE FIRST QUESTION AWARD』は、小山田自身の言葉を借りれば「全曲シングルカットが可能なポップス集」を目指した作品。
続く2ndアルバム『69/96』では、当時としては珍しかったハードディスクレコーディングをいち早く導入するなど、実験的な要素をさらに強めていった。
世界21カ国でのリリースと『FANTASMA』
1998年、Corneliusはアメリカのインディーレーベル、マタドール・レコードと契約する。
3rdアルバム『FANTASMA』、4thアルバム『POINT』は世界21カ国でリリースされ、ワールドツアーも開催。
国内のアーティストとしては異例の、世界規模での活動が本格化していった。
『FANTASMA』以降のライブでは、バンドの生演奏と、舞台後方に投射される映像を寸分違わずシンクロさせる演出が大きな特徴になっていく。
当初は小山田自身が自分の映像コレクションをサンプリング的な手法で編集していたが、その後は映像作家の辻川幸一郎や中村勇吾、groovisions、大西景太らが手がけるようになった。
アルバム『Sensuous』にともなう映像作品はアメリカのグラミー賞にノミネートされるなど、音と映像を融合させた表現は国内外で高く評価されている。
実験と洗練を行き来するサウンド
Corneliusの音楽の核にあるのは、サンプリング、多重録音、そして緻密なサウンドデザインだ。
テルミンの使用、ヘヴィメタルへの傾倒と新解釈、シンセサイザーを前面に出したアレンジなど、その時々で手法を大きく変えながらも、一貫して新しい響きを追求し続けてきた。
ツアー時のバンド編成「THE CORNELIUS GROUP」は、小山田圭吾(Vo・G)、堀江博久(Key・G)、清水ひろたか(B)、あらきゆうこ(Dr)を中心に、2016年以降はBuffalo Daughterの大野由美子がベース・シンセサイザーで参加している。
近年はYMOのサポートメンバーを務めるなど、自身のプロジェクトの枠を超えた活動も続けている。
新作『Refractions』とサマーソニック2026
2026年7月8日、Corneliusは新曲「Twisting & Glistening」を配信リリース。
そして8月19日には、2023年6月発表の前作『夢中夢 -Dream In Dream-』以来、約3年ぶりとなるニューアルバム『Refractions』を発表した。
先行シングル「MIND TRAIN」「BAD ADVICE」「夢寝見」「Aeons」を含む全10曲を収録。
デラックスエディション盤には、2024年7月に行われた活動30周年記念ライブ「Cornelius 30th Anniversary Set」の映像を収めたBlu-rayも同梱される。
9月10日の神奈川公演を皮切りに、全国8都市10公演の全国ツアー「CORNELIUS REFRACTIONS TOUR 2026」も開催され、2027年6月にはロンドン公演も予定されている。
この新作を携え、Corneliusは2026年8月、サマーソニック2026にも出演した。
ステージでは「Twisting & Glistening」の演奏に合わせてカラフルな映像がバックに投影され、視覚的にも観客を引き込むステージとなった。
ライブの終盤には「環境と心理」「あなたがいるなら」といった楽曲も披露され、前回の出演から3年の時を経てなお、音と映像を融合させるという一貫したスタイルを貫いていることがうかがえた。
フリッパーズ・ギターから数えて約35年。
渋谷系という一つの時代を駆け抜けた小山田圭吾は、Corneliusという名のもとで、今もなお新しい音の響きを探求し続けている。