SUEDE──ブリットポップの起点が、35年経っても衰えない理由
引用元:SUEDE 公式サイト
この記事でわかること
- 01.SUEDEは1989年、ブレット・アンダーソンを中心にロンドンで結成された、ブリットポップの起点とされるバンド。
- 02.1993年のデビューアルバムは全英チャート1位を獲得し、マーキュリー賞を受賞。
- 03.2025年発表の10thアルバム『Antidepressants』を携え、サマーソニック2026にも出演。
「ブリットポップの起点」という呼び方は、多くのバンドに使われすぎて陳腐に響くこともある。
それでもSUEDEに関しては、この呼称は誇張ではない。
1990年代前半、まだ誰もブリットポップという言葉を知らなかった頃、このバンドはすでにその輪郭を描き始めていた。
ロンドンで始まった、3人組から

SUEDEは1989年、ロンドンでブレット・アンダーソン(Vo)、マット・オズマン(B)、ジャスティーン・フリッシュマン(G)の3人によって結成された。
アンダーソンとオズマンは10代の頃からの友人で、フリッシュマンは当時アンダーソンの恋人だった。
ギタリストが不在だった3人は、音楽誌NMEにメンバー募集広告を出し、これに応じたのがバーナード・バトラーだった。
元ザ・スミスのマイク・ジョイスが一時的にドラムを手伝った後、1991年、サイモン・ギルバートが正式なドラマーとして加入する。
同じ頃、フリッシュマンはアンダーソンと破局し、ブラーのデーモン・アルバーンと交際を始めていた。
バンド活動とこの新しい交際関係を両立させようとしたフリッシュマンだったが、次第にメンバー間の緊張が高まり、1992年初め、バンドを脱退。後に自身のバンドElasticaを率いることになる。
この人間関係は、ブリットポップ期を象徴する出来事の一つとして、今なお語られることがある。
デビューアルバムと、ブリットポップの起点
1992年、まだシングル1枚も出していない段階で、音楽誌メロディー・メイカーはSUEDEを「英国最高の新人バンド」と評した。
そして1993年、セルフタイトルのデビューアルバム『Suede』をリリース。
このアルバムは全英アルバムチャートで1位を獲得し、マーキュリー賞も受賞している。
デビュー作でここまでの評価を得たバンドは当時稀で、後に「ブリットポップ」と呼ばれることになるムーブメントの先駆けとして位置づけられることになった。
しかし、成功の裏でアンダーソンとバトラーの関係は急速に冷え込んでいく。
1994年2月にリリースされたシングル「Stay Together」(全英3位)が、バトラー在籍時最後のシングルとなった。
2ndアルバム『Dog Man Star』の制作途中でバトラーは脱退し、当時弱冠17歳だったリチャード・オークスが後任ギタリストとして加入。
後にニール・コドリングもキーボード・ギターとして加わり、バンドの新体制が固まっていった。
解散、そして「The Tears」という再会
2002年のアルバム『A New Morning』を最後に、SUEDEは事実上の活動休止に入る。
2003年には解散状態となったが、2004年、思いがけない出来事が起きる。
アンダーソンが、かつて袂を分かったバトラーと再びタッグを組み、「The Tears」というバンド名義でアルバム『Here Come the Tears』(2005年)を発表したのだ。
この再会は当時、多くのファンを驚かせた。
2010年の再結成、『Bloodsports』での復活
2010年、SUEDEはついにバンドとして再結成を果たす。
ただしバトラーはこの再結成には加わらず、「バンドが再結成すること自体に反対」という原則的な立場から不参加を貫いた。
オークス、コドリングを含む体制で活動を再開したSUEDEは、2013年、復活後初となるオリジナルアルバム『Bloodsports』を発表。
長いブランクを感じさせない仕上がりで、多くのファンに歓迎された。
10thアルバム『Antidepressants』とサマソニ2026
2025年9月5日、SUEDEは前作『Autofiction』(2022年)から3年ぶりとなる10thアルバム『Antidepressants』をリリースした。
プリミティブなアプローチだった前作からさらに一歩踏み込んだ、壮大で没入感のあるサウンドが特徴の作品だ。
収録曲「Broken Music For Broken People(壊れた人々のための壊れた音楽)」というタイトルが象徴するように、世相の暗さを反映しながらも、聴き手を包み込むような温かさを持つアルバムに仕上がっている。
2026年7月10日には、新曲「Emotionally Unavailable」を含むデラックス・エディション『Antidepressants: Expanded』もリリースされた。
そして2026年、SUEDEはサマーソニック2026の第1弾出演アーティストとして、THE STROKES、L’Arc-en-Ciel、JAMIROQUAI、KASABIANらとともに名を連ねた。
東京会場でのステージでは、『Antidepressants』のジャケット写真がバックドロップと両サイドのスクリーンに映し出される中でメンバーが登場。
セットリストは新作からの楽曲とベストヒットで構成され、2曲目の「Trash」で早くも場内は熱狂のピークに達したという。
ブレット・アンダーソンは、マイクのコードを振り回し、観客の手拍子を煽り、シャツを汗で濡らしながら、何度もステージを降りてモッシュピットに飛び込むという、変わらぬ熱量のパフォーマンスを見せた。
結成から35年以上。メンバーチェンジも、解散も、思いがけない再会も経験してきたSUEDEだが、ステージ上で見せる熱量だけは、デビュー当時から少しも変わっていないようだ。